テンプHDとインテリジェンスHD 「買収」にあらず「連携」という表現に鍵? (三浦和夫のNewsWatching Vol.246)

2013年4月9日

左からインテリジェンスHDの高橋広敏社長、テンプHDの篠原欣子会長兼社長、水田正道副社長

左からインテリジェンスHDの高橋広敏社長、テンプHDの篠原欣子会長兼社長、水田正道副社長

「異文化同士が良いところを出しあいながらお互いに発展したいですね。そして世界に貢献できるようにしたい」――。

4月8日、テンプHDの篠原欣子会長兼社長は、インテリジェンスHDの買収について月刊人材ビジネスのインタビューに対してこう述べました。同席したインテリジェンスの高橋広敏社長も笑顔で取材に応え、今回のいわゆる”合併劇”が円満且つスムーズに運んだことを窺わせました。

広報資料によると、両社合わせた取扱高は約3,272億円(13年3月期予想)、営業利益は約170億円(同)を超え、リクルートグループの取扱高4,934億円にグンと近づきました。
「これでリクルートグループの背中が視野に入りましたね」と水を向けると、会見に応じた篠原欣子テンプHD会長兼社長、高橋広敏インテリジェンスHD社長、水田正道テンプHD副社長の3人は「とんでもない、まだまだですよ」と手を横に振りましたが、まんざらでもない様子。

両社は今回のいわゆる買収劇について、テンプ側は合併でも吸収でもないあくまで「株式取得による連携」という表現を用いています。結果として、「連携」を株式取得という手法によって獲得した、という意識がありそうです。
それは篠原欣子社長の個性でもあり、連携によって「雇用の流動化と安定化を実現する新たなプラットフォームの創造」をめざすという点が強調されています。

水田正道・テンプHD副社長は『流動化と安定化』について少し解説を加えています。「派遣であれば1社における雇用期間が終了しても連携がとれていれば新たなお仕事の間口は広がり(雇用は)安定化します。雇用形態は流動化しますが同時に安定化を図る措置が必要です」と語っています。
そして、それらのプラットフォーム化が視野にあるのなら、テンプHD側の糾合は今後も続くということになります。

筆者は、今回の”買収劇”は、結果として、絶妙なタイミングで行われたと評価しています。理由は3つ。
1つは、人材ビジネス業界の景気が好転しつつある時機であること。
2つは、政権交代によって労働者派遣事業制度改革が進展し始めていること。
3つは、他方、業界の底辺で悪質的な派遣事業がはびこり、労働局による事業停止命令と改善指導の件数が大幅に増加して、粗悪事業所の一掃があたかも進んでいるかの様相を呈していること。

いわば、新たに生まれ変わろうとしている制度改革が仮に予想以上のテンポで進展すれば、アベノミクスの影響も人材業界の背中を押すのは必至であり、夏場以降の人材業界の業績拡大は目に見えて改善する時機だ、と言って過言ではありません。

筆者は3年前、当時のNWでこれからの派遣について、「宴のあとに宴の夢を見てはならない」と書きましたが、派遣元企業の事業や人材業界の在り方もあくまで進化してほしいとの願望を込めました。
インタビューで明らかにされた「連携」と「プラットフォーム化」が具体的にどのような形となって現れるのか?それに注目したいと思います。

(完)